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養育費の金額を決める際におさえておくべきポイント

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養育費の金額をいくらにするかは非常に重要です。ポイントをおさえて適切な金額を決めましょう。

養育費の金額の決め方

協議離婚の場合、通常、養育費をいくらにするかは、当事者間の話し合いで決めることになります。金額は双方が合意すれば良いわけですから、ある意味自由です。

一方、審判などで裁判所が決める場合には、明確な基準があります。この基準は、どのぐらいの養育費が妥当であるのかの目安になりますので、当事者だけで決める場合にも、十分参考になると思います。

養育費算定表

裁判所が養育費の金額を決定する際、通常は、養育費算定表というものを使います。これは、東京と大阪の裁判官が共同で作った資料で、今では、養育費を算定する際のスタンダードとなっています。

養育費算定表はこちら(東京家庭裁判所のページへのリンクです)
 

見てもらえばわかりますが、この表は、「義務者(養育費を支払う者)と権利者(養育費を受け取る者)の年収」「養育すべき子どもの人数」「養育すべき子どもの年齢」という3つの要素をかけあわせ、適切な養育費額を導き出すものです。

例えば、離婚時、夫はサラリーマンで年収は600万円、妻はパートで年収は100万円、2人の子ども(長女16歳、二女12歳)は妻が養育するとします。この場合は、右上に「表4 養育費・子2人表(第1子15~19際,第2子0~14際)」と書かれている表で調べます。

縦が夫の年収、横が妻の年収です。縦軸600万円と横軸100万円が交差するところを見てみると、8~10万円のゾーンに入っています。つまり、子ども2人分の養育費としては、1か月8~10万円が適正ということです。

この表さえあれば、簡単に養育費の適正額を調べることができます。注意する点は、表から算定した金額は、子ども1人分ではなく全員の分だという点、収入は年収をベースにしているので、ボーナスも含まれているという点、それと、サラリーマンと自営業者では基準が違うという点です。特にこれを間違えると金額が大きく違ってきますので、気をつけてください。

養育費計算式

養育費算定表は非常に便利なのですが、子どもが3人までしか対応していませんし、義務者と権利者の収入も上限があります。

確かに、子どもが4人以上、あるいは年収が2000万円以上のケースというのは、そう多くはないでしょうが、私も何件か扱ったことがあります。お医者さんからの依頼の時には、源泉徴収票を見て腰を抜かしそうになりました。

では算定表が使えない場面ではどうしているのかと言いますと、養育費を算出するための計算式があるのです。それがこれです。

1 基礎収入

基礎収入=年収×基礎収入率 ※基礎収入率は、通常0.34~0.42ですが、高額所得者の場合には、基礎収入率は0.34未満にします。

2 子の生活費

子の生活費=義務者の基礎収入×(55×A+90×B)/(100+55×A+90×B) ※Aには0歳から14歳までの子どもの人数、Bには15歳から19歳までの子どもの人数を入れます。

3 支払うべき養育費

支払うべき養育費=子の生活費×義務者の基礎収入/(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

子どもの人数や収入が多い場合以外でも、2度目の離婚で前妻との間に子どもがいて、そちらにも養育費を支払っているとか、既に再婚していて新しい扶養家族がいるというケースはよく出くわします。

こういった場合も算定表をそのまま当てはめることはできないため、専用の計算式で計算することになります。

養育費の金額を決める際の注意点

長期的に支払可能な額

養育費を支払ってもらう側からすれば、金額は高ければ高い方が良いと考えがちです。

私が離婚調停中の夫から依頼を受けて、裁判所に提出する書類を作成した案件でも、「養育費は10万円以下では絶対に応じません」と妻が頑張って、なかなか合意が成立しなかったことがありました。夫の収入から考えて、とても毎月10万円も支払える状況ではなかったのに、です。

この調停は、結局不成立となり、審判で、養育費は1か月6万円と決まったのですが、もし、夫が早く調停を終わらせたいと思い、10万円で応じていたらどうだったか。最初のうちは貯蓄などがあり、給料だけでは不足する分を補うことはできるでしょう。しかし、根本的に、収入に比して養育費の支出が大きいため、いずれは支払えなくなったのではないかと思います。

つまり、いくら高額な養育費を決めたとしても、支払われなければ何の意味もないということです。養育費の支払は相当な長期間になります。それであればこそ、長期間にわたって支払が期待できるような、妥当な金額を設定すべきなのです。

後に増額または減額の変更が可能

離婚時に養育費の金額を決定する場合、当然、その時点での収入や状況によって算定することになります。

しかし、その状態がいつまでも続くとは限りません。義務者である父親が再婚をして、新たに扶養家族ができるかもしれませんし、会社の経営状態が思わしくなく、給料が減るかもしれません。そうなった場合には、父親にとって、離婚時に決めた養育費の金額が、大きな負担になることでしょう。

また、子どもが高額な治療費を要する病気になったり、母親が怪我をして仕事を辞めざるを得なくなったりすると、養育費が不足するでしょう。

このような場合、養育費の減額または増額を相手方に求めることはできますし、調停を申し立てることもできます。ただし、一旦決めた養育費を変更するわけですから、そこには合理性が必要です。特に、もともと決めた金額が妥当なものであれば、それを変更するには、それなりの理由がなくてはなりません。

長い支払期間の中では、急にお金が必要になることもあるでしょう。何かイレギュラーな出来事が起こった時のために、双方で十分協議ができる体制を整えておくことをお薦めします。