浮気・不倫の慰謝料請求とは
今回のテーマはちょっと法律的な話です。
浮気(不倫)によるものかそうでないかは置いておいて、そもそも慰謝料とは何なのかという点について簡単にご説明します。
慰謝料の法律的な説明
慰謝料とは、損害賠償の一種で、特に精神的な損害に対して支払われる金銭のことを言います。法律的には「第三者の不法行為によって生じた精神的な損害を慰謝するための賠償金」ということになります。
つまりこの場合は、「浮気=不法行為」ということです。 民法は、不法行為による損害賠償について次のように規定しています。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
これを例えば、妻A子が、夫B太郎の浮気相手の女性であるC美に慰謝料請求をするという場面にあてはめて考えてみます。
故意又は過失
まず、「故意又は過失」というのは、C美は、B太郎が結婚していることを知りながら、不倫関係になったのかどうかということです。
C美が知っていたのなら「故意」があったということになりますし、結婚していることに気付いて当然なのに気付かなかった、ということであれば、「過失」があったと言えます。
他人の権利又は法律上保護される利益
次に、「他人の権利又は法律上保護される利益」とは、最高裁の判例によると、「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」となります。これが侵害されたということは、平たく言うと、「平和な結婚生活をぶち壊された」ということです。
ここでの「法的保護に値する利益」とは、「この利益が害された場合には、裁判所が損害賠償請求のお手伝いをしますよ」という意味です。
侵害した
「侵害した」とは、不法な行為が行われたということであり、肉体関係があったという事実を意味します。
これによって生じた損害
また、「これによって生じた損害」というのは、浮気によってA子が被った損害、例えば、ものすごい精神的なダメージを受けて非常に辛い思いをしたという場合、そのこと自体が損害となるわけです。
そして、民法には、精神的な損害についても賠償する必要があると規定した、次のような条文があります。
民法710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
物理的・経済的な損害
ところで、浮気による損害としては、精神的損害だけではなく、物理的な損害もあり得ます。
先ほどの事例ですと、B太郎の浮気が発覚したことによりA子が大きなショックを受けて不眠症になることもあり得ます。
その場合、A子が心療内科で診察を受けて薬を処方してもらったとすると、その医療費も浮気による損害だと言えますので、A子が支払った医療費分についても、C美に対して損害賠償請求をすることが可能です。